日本に帰ると必ずされる質問に「なんで海外に行こうと思ったんですか?」
ふと、自分が海外で暮らしてみようと思った理由に変化が見られたので
なんとなく、ざっくりと残しておこうかなと思います。
私が初めて海外旅行したのは23歳の時、仕事で色々と思いつめてパンクしていた時。
当時の上司のようなお世話になっていた方の一言がきっかけでした。
「ずっと日本に居るからそんな狭いことで悩んでんだよ。休みあげるから海外行ってこい!新しいもの見たほうがいい。」
今思うと20歳から私を知るこの方は、知り合って早い段階で私に海外に行くことを強く勧めてくれる人でした。その当時の私は海外旅行なんてしたことなかったし、日本でやりたいことに満ち溢れていたので、ピンときませんでしたが、後々その頃のことを思い出しては予言されてたっなんて思ってます。笑
そんなこんなで、忙しさが落ち着いた3月、10日間の休みを頂戴し、初海外旅行!
行き先は当時服飾の仕事をしていた私の憧れ「パリ」
初めての海外だったので、それなりに観光地らしいところにも行き、ひたすら街をブラブラしました。でも一番感動したのが「空」
3月の終わり、まだ春とも言えない曇り空でも、「空が広い」「地球は丸い」とすごく真っ当な感動を覚えました。そして不思議なことにそれまで自分の中にぎゅうぎゅうに詰まっていた悩みがす〜っと晴れていくことに気がついたんです。
本当に、背中を押してくれた言葉通り「狭いことで悩んでたんだな自分」と理屈なく思ったんです。
それが私の最初の海外。でもその時は海外に暮らしてみようなんて思いませんでした。
日本で頑張って、また旅行いきたいなくらい。
次に海外に、そして今度は暮らしてみたい!勉強したい!と思ったのは25歳ごろ。
理由は一つ。
「日本が嫌いになっていた。日本に怒っていた。」から。
25歳の若造が、何をそんなにと思われるかもしれませんが、とにかく怒っていました。何だかわからないけど「だから日本は」と思っていた。対して他のことを知らないのに。そして、自分のことを知ってる人が誰もいない場所に行きたくなった。
言葉は強いけど、本当に当時そう思っていたし、口にも出してました。
だから、自分がぼんやりとこの国の政治はちゃんとしてるんじゃないか、国として面白くてそしてその当時自分が勉強したいと思っていた、デザインの分野で興味のある国に行ってみよう!それが25歳、海外に、デンマークで暮らし勉強したいと思った理由でした。
それから1年後、デンマークに渡ったことは、私の人生の転機でした。
一番は「自分を肯定できた」こと。
日本にいた時、私が一番苦しんでたことは自分が「日本の一般的価値観の上を歩けないこと」だったんだと思います。簡単に言うと何歳までに結婚して、とか。誰かとディスカッションしても「でも普通は〜」と返されることへの違和感。
そしてそれに属せない自分に欠陥があるんじゃないか、どうして私は怒ってばかりで皆んなに共感できないんだろう。
でもデンマークで出会った人たちと暮らし、勉強し、ものづくりをし、
「こんな自分でもいいんだ。このままの自分で、そのまま生きられる場所がある。」
そう強く感じて、長年の凝り固まった怒りや悩みが嘘みたいにスルスル〜っと流れていきました。
デンマークで暮らした後の日本での生活は今までのそれとは違って、とても気楽なものでした。帰国して最初の一年こそ「逆カルチャーショック」でなんだか自分の生まれた国じゃないような気さえしましたが、徐々に違う視点で日本を感じようと思うようになりました。それからは忙しく働くことさえ、日本らしいな、と前向きに感じました。
小さく狭く深く、そういう風に悩むことがなくなった。
それと同時に、デンマークから友達や先生が遊びに来るたびに、スカイプで話すたびに
「今は何をつくってるの?ヨーロッパにはいつ戻ってくるの?」そう言われ続けていました。そして30歳が見え始めた頃、ふと口をついて「海外の大学でちゃんと突き詰めたい。勉強したい。30代でその土台を作って、生涯かけて積み重ねていきたい。」と。
25歳の頃の私が見たら、驚くほどに今は日本が好きです。
それは、どんなに自分が嫌だと思うことがあっても日本が母国だと思え、そしてそれは他人事ではないと感じるからだと思います。
カナダは暮らしやすいです。多様な価値観。カナダ人はとてもフラットでフレンドリーで、いい教育のある国なんだろうとすら感じます。もし自分に子供がいたら、こんな風にどんな肌をしていても、どんな見た目でも関係なく自然と会話ができる人に育って欲しいと思うほどに。
でもカナダで生涯暮らしたいとは今は思わない。
最初に海外に出ようと思った時にはあんなに日本が嫌だったのに。
今は40代には日本に帰ってこんなことをしよう、と考えるくらいに。そしてそれまでに外でできる限り、沢山のことを学び感じたいと。
私が今、海外で暮らす理由はとてもポジティブなものだ。