詩的感覚の国境線。

いつもドイツ語がどうのばかり書いていたので、たまには大学で何をやっているのかについて書いてみたのですが…いつも以上にわけのわからないブログになってしまいました。読み返して、面白味のなさを反省してます。でもこのままアップします。面白味など、いつも大してないわけで。笑

 

まだ始まって2日ですが、通常モード全開で10時から19時までみっちり授業。週末もぎっしりプロジェクトです。1ヶ月ぶりの授業で、しかも生徒に大人気の先生。彼女はベルギー人のアーティスト。昨日も書いた通り彼女の授業での公用語は英語ですが、本人はオランダ語、フランス語、スペイン語、英語が話せます。

 

昨日から読み始めたテキスト。象徴主義を代表する作家のモーリス・メーテルリンクのLes aveuglesの英語翻訳版The Blind. これからプレミアを控えている脚本を読み込みました。

日本ではおそらくほとんど紹介されていない作家かもしれません。日本語版ウィキペディアにはほとんど何も書かれていません。大事なことがすこーんと抜けています。英語やドイツ語などに変えてみるとその内容の差に、認知度が出てる気がします。ウィキペディアを人気のバロメーターにするのも、あれですが。笑

 

 原文はフランス語で、そこから英語、ドイツ語と翻訳されています。象徴主義の原文を翻訳にかけると、かなり意訳の部分が発生します。昨日から数回通して読んでいるのですが、深く解釈するために、とうとう今日は英語訳も2バージョン、原文とドイツ語版と4つのバージョンを比較してディスカッション。一体、今どの言語の中に入っているのか途中でぼんやりして、全員笑がこみ上げてきました。結局のところ、私たちが最初に選んだ英語版はもっとも詩的な解釈で訳されていたことに気がつきました。おそらく象徴主義と言う概念が浸透したのちに、それを踏まえて翻訳をかけたからではないか、と思うのですが。

 

戯曲の先生をはじめ、原文ではないものを読んでいる時は、必ず「誰の翻訳か」と聞かれます。今までそんなこと気にしたことありませんでしたが、こうやって比較してみると、作品の真髄を揺るがしかねない、ということを理解し、もう日本語版で何か本を探すときも翻訳者のプロフィールを確認しないと購入できない性に。めんどくさい。笑

 

ごちゃごちゃしたことは置いといても、このThe Blind. 美しい作品ですし、言葉自体はシンプルなのに深く感じ入れるので英語学習者にもオススメです。

 

今日面白かったのは、あるセクションで私を除く全員が「つじつまが合わない」と引っかかったパートがありました。前後関係を無視して抜粋してみます。

 

I could not tell you. How would you have me explain!- it is too far from here; it is beyond the sea. I come from a great country.....I could only make you understand by signs and we no longer see..... I have wandered too long...But I have seen the sunlight and the water and the fire, mountains, scch on this Island; it is too flommy and perfume since I saw them last....And I have seen my parents and my sister....I was too young then to know where I was.... I remember having seen!...One day I saw the snow on a mountain-top....I began to distinguish the unhappy....

 

正直、私にはどうして皆が引っかかったのかピンときませんでした。こういった比喩的な表現がずら〜っと並んだパートに、突然ジャンプする感覚は日本語の書籍では珍しくないと思うからです。日本語は主語がなくてもニュアンスでキャッチボールしていけますが、ある意味、空間的な言語なんだろうか、と思いました。だから象徴主義の作家の作品は馴染みやすいのかもしれません。私にはこの詩的な表現は馴染みのあるもので、空間の奥に意味がギュッと詰まった、日本語のような感覚を覚えます。

 

うまく説明できませんが「詩的な感覚」には他の文学的表現の中でも国境がある表現方法なのかもしれません。私にとって英語の俳句が日本語のそれに比べて面白くないように。脳科学の世界で、日本人の脳と、欧米人とを比較して「虫の声」に情緒を感じるか否かという違いが両者にはあるというのを本で読んだことがありますが、この詩的感覚についても誰か論じていないか。とても興味のあるトピックです。どなたかリコメンドがあれば教えていただきたいくらいです!

 

私たちはこれからこの作品についてリサーチ、コラージュから立体制作に入ります。

 

でも書いてみて分かりました、制作の内容はブログ向きでないということが!

反省を生かして、スーパーで見つけた面白い食べ物とかのお話が書けるようにアンテナを張りたいと思います。笑