化粧とサマーフェス。

久しぶりに、日本に住んでいた振りに、化粧をして出かけました。

 

日本でも、特にメイクアップと呼べるほどのメイク技術は持ち合わせていませんでした。ですが10年社会人をやっていたので、常識的な「化粧してます」的な化粧はしていたつもりです。ファンデーションに口紅、チークにマスカラ。まぁ、化粧で変身した方がいいと提言されそうな地味顔にもかかわらず、メイク技術は一向に上達しませんでしたが。

 

ウィーンに来てから、と言うかカナダやデンマークで覚えてしまった「欧米圏で、かつ学生ならノーメイクでも大丈夫」の名残で、ほとんどお化粧していませんでした。週末の夜に口紅くらい。平日は眉毛書くくらい。なんなら眉毛書かないこともしばしばでした。ファンデーションとおさらばしてから9ヶ月、肌荒れはすっかりなりを潜め、ニベアの青缶さえ塗っていれば乾燥知らずで快適です。

 

きっかけは髪を切ったこと。私は周りの20代とは違い、それなりにお手入れしていかないと御綺麗には見えないのだなぁ〜と思ったこと。年相応に見えることに大賛成ではあるものの、心のどこかに彼らに「おばちゃん扱いされたくないなぁ」と言う気持ちがないと言ったら嘘になります。私は人の目を気にせず生きていけるほど、まだ自立した人間ではなさそうです。そういう、ある種の見栄が消えないので、私は美容院に行きたいし、たまにはお化粧もしようと思い立ちました。ポジティブに考えれば、ファッションを勉強していたので、ファッションがやっぱり好きだと言ってもバチが当たらないかな…。

 

2週間前、ドラックストアでチープなコスメを購入しました。合計しても2千円以下のティーンエイジャー向けのコスメです。それが、今の私には十分だと思いました。

 

さて、スタジオでの作業と授業もあと1週間となりました。7月からは夏休みです。来週末からドイツ研修なのですが、研修が終了したら現地のドイツからみんなヨーロッパ中にバラけます。今週末がクラスのみんながウィーンにいる最後の週末。友達の家で先生も招いてのサマーセメスターお疲れ様パーティーが開催されました。それが今日、私がお化粧して行った場所です。

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いつお邪魔しても素敵なお家です。

 

 

皆に「フルメイクのkiki初めて見た〜」とちょっとネタにされました。笑

そこで化粧文化について色々話が及びました。日本の一般的な企業では女性がお化粧をするのがマナーだという話をしたら驚かれました。ちょっと特殊ですが、私が以前勤めていた銀座のギャラリーでは勤務開始前にメイク講座がありました。銀座らしいメイクを教わったのです。「女性らしくあれ」の文化を体感した極端な体験ですが、例えば東京の有名アパレルショップに勤めたら、指定のヘアサロンでいつも最先端なヘアスタイルでいることを半ば義務付けられることもあります。私が想像するに大都市では東京に限らずそういう文化があるんじゃないかと思います。イギリスの新聞記事でハイヒールを義務付けられている会社員の女性の話を読みましたし、ここウィーンでも通勤する女性がフルメイクであることは決して珍しいことではありません。どれぐらいの女性がメイクをすることを楽しんでいるのか、窮屈に思っているのか、私はまだよく知りませんし、ノーメイクで仕事することが問題ない仕事も多く存在します。私の母が新聞配達をしていた時代は、母のメイク姿などほとんど見たことがありませんでした。

 

多分「化粧がマナー」と驚かれたのは、彼らが学生でかつ芸術専攻だからかもしれません。きっと、私も彼らと馴染みたい気持ちがあったからこそのノーメイク生活。都合のいい解釈ですが、フルメイクでバッチリきらびやかに女性らしい感じだと、どういうジェンダー感を持っているのか誤解されかねない環境ではあります。

 

彼らがおしゃれやメイクに興味がないわけではありません。よく着ている服やアクセサリーを褒め合います。それは一昔前の日本人男性が恥ずかしがりそうなくらいストレートに「素敵だね、よく似合ってるね」と言ってくれます。男女問わず。

 

時々、自分が年相応とは程遠い外見と人生を送っていることに不安を覚えることがあります。冷静に考えれば、自分で決めてきたことなので「大丈夫だ」と落ち着けるのですが、ふとそう思うことがあります。33歳だと言うと23歳じゃなくて?と驚きの声を聞かされ、33歳に見えない自分は中身もきっと年齢に追いついていないんだろうなって。周りが結婚して子供がいて、自分は大学生。何一つ後悔も引け目もないはずなのに、心のどこか、ほんの1%くらいは気にしている自分がいるのでしょう。

 

だから、と言うわけではありませんが時々お化粧をして「年相応に見えるかな」と安心するのもいいのかな、なんて思うのです。化粧って不思議な行為です。

 

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 何はともあれ、楽しい夜でした。