大学入学条件は大学や専攻によって様々。

オーストリアの大学に正規学生で在籍していると話すと、時々「日本でも同じ専攻だったんですか?」とか「入学条件厳しいですよね?」と質問されることがあります。理由はインターネット上の基本情報。例えばこちら。

ryugaku.jasso.go.jp

ここから引用すると私の大学の入学条件はこうなります。ちなみに私はディプローム課程です。

<学士課程>
一部例外を除き(※)、入学試験は無く、書類審査で合否が決定されます。日本から学士課程やディプローム課程に留学する場合、一般的に以下の条件が必要です。
  1. 高校を卒業していること
  2. 日本の4年制大学に合格していること
  3. 合格している大学での専攻分野が留学先の専攻と同じであること
  4. 十分なドイツ語運用能力

 

さて、このブログを少し読んでくださったことがある方ならご存知でしょうが、私はこの中で満たしている条件は"1.高校を卒業していること "だけです。

どうやって入ったんだ?と思われそうなので、簡単に説明します。

上記の”一部例外を除き”のその例外パターンですね。

 

条件2.日本の4年制大学に合格していること

こちらが私の大学の2に対する条件です。

Is it possible to study without school leaving examination?

An Austrian school leaving examination (Matura), an equivalent qualification e.g. a German university entrance qualification (Abitur) or test of access to university education for the resoective study program are necessary for the admission to the Bachelor study programs Architecture and Education in the Arts.  

For all other study programs no school leaving examination is required, however, a demonstration of artistic aptitude in the course of the admission exam is necessary.

というわけで、私はFor all other study programsに相当するので、school leaving examinationの証明書は必要ありません。このschool leaving examinationがいわゆるこの条件2の4年制大学に合格していること、という条件を指すのでしょう。ただし"a demonstration of artistic aotitude in the course of the admission exam is necessary "とあり、大学の各課で実施される実技を含む入学試験を受ける必要があります。つまり書類審査では合格は貰えません。

 

条件3.合格している大学での専攻分野が留学先の専攻と同じであること

これについては統一での回答は見当たりませんでした。BA,MAの他にDiproma, Phd, Doctorなど課程もバラバラなので、それぞれ確認するしかなさそうです。

How is the study program structured?

Fine Arts, Scenography and Conservation and Restoration are diploma programs and structured in two study sections. You finish with the degree Mag.art. (Magistra/Magister artium). Architecture and Education in the Arts are offered as Bachelor- and Master programs. Master in Critical Studies is only offered as a Master program. In Austria the completion of a diploma program is equivalent to a Master’s degree

一例としてCritical StudiesのMAの場合。

The programme is aimed at students who either possess a diploma or B.A. in a discipline from the field of humanities or those who have achieved a corresponding qualification in an artistic discipline.

the field of humanitiesとある程度限定されているようです。言い切れないですが…。

 

BAーMAが一連のDiplomaコースについては各専攻ごとに多少違いがありますが厳格に以前の分野を指定しているものは少ないです。私の場合は「美術教育の下地がすでにある者が好ましい」という記述があり、実際入試の面接でも聞かれましたが、証明書の提出は義務付けられていませんでした。かなり曖昧だなと思います。

 

条件4.十分なドイツ語運用能力

これについては専攻ごとに要求レベルも違えば、語学証明書の提出期限も異なります。建築学科は入試時に英語とドイツ語のB2語学証明書がそれぞれ必要です。ファインアートのスタジオはサードセメスター登録までにB1。私もサードセメスターまでにB2が必要です。芸大の場合は、大学で一括りで無い場合があるので、よく確認する必要があります。お隣ドイツの大学では芸大でもC1を要求しているところもあります。また、有効な語学試験について指定されている場合もあります。

 

たったこれだけとっても、ネットに溢れている情報というのは一部でしか無いんだなぁということがよくわかると思います。さらに言うと、日本語での情報はより均したことだけの場合も多いです。リンク先にもこのような注意書きがあります。

※学籍数が制限されている専攻では、入学資格を満たしていても、入学が許可されるとは限りません。入学者を選抜する試験:Aufnahmepruefung(独)/Zulassungspruefung(独)が課される場合があります。

※芸術やスポーツの分野では入学許可をもらう前に、適正試験:Eignungspruefung(独)を受けて才能を示す必要があります。また、入学試験に先行して、作品ポートフォリオ:Portfolio(英)/Mappe(独)の提出などを求められることがあります。

※入学のための各種試験は、通常の入学手続きよりも前に行われることが多いので、日時などを必ず各自で確認し、余裕を持って登録を行ってください。
 

 

その通りです。骨が折れるだろうとは思いますが、もし行きたい大学や学校があるのであれば、直接学校のホームページを熟読することをオススメします。私も最初は日本語の情報だけで、ドイツ語圏は条件が合わないから無理だなぁと思ってました。だから英語を勉強して、英語で入れる大学を最初は探していました。ですが英語でホームページが読めるようになると、どうも聞いていた話と違うなぁということに気がつきました。例えば他にもオランダの芸大のMAではBAもしくは相当の職務経歴という条件があるものも見つけました。この場合も相当の職務経歴ってかなり曖昧です。

 

もう一つ言うなれば、大学に問い合わせをするときは「誰が窓口なのか」もよく調べてから連絡された方がいいです。私も入試試験の登録方法に不明点があり、事前に問い合わせました。問い合わせ先は大学の総合窓口ではなく(いわゆる学生オフィス)、専攻のページから、スタジオ担当の事務経理の人宛に出しました。間違えて教授や学生課に宛ててメールを出していたら、返事は来なかっただろうと思います。まぁ百歩譲って学生課なら、担当の連絡先ぐらい教えてくれるかもしれませんが…。

 

あとは、これもよくネット上で見る話ですが"事前にポートフォリオを見せに行ってコネを作った方がいい”というアドバイス。これはまさにケースバイケースです。ちなみにうちの教授の場合は何の意味もなさないと思います。短期留学で受け入れた学生でも、正規で受け入れることは稀なタイプな人です。事前にポートフォリオを見たがるとも、見たところで入試が有利になるとも思えない、そんな感じの人です。

それとは打って変わって、建築学科(BA)のページにはこんな文言が。

To give you the opportunity to show your work and to talk with teachers for support and advice we offer regular portfolio reviews from April 2018 on.

建築学科(BA)の今年の試験は6月。2ヶ月前の4月にアドバイスが貰えるポートフォリオレビューの機会があるとアナウンスされています。

 

他にも、友人でドイツの大学の短期ワークショップで担当の先生と知り合い、そのコネで聴講生として1セメスター短期留学する子もいます。この場合はネットのアドバイスが当てはまると思います。事前に教授の人柄を知る術はなさそうですが、やっぱりホームページを読んでいれば上記の建築学科のような情報を得ることも出来そうです。

 

早いもので、入試を受けてから1年が経ちました。手探り状態でしたが、諦めなくてよかったと心から思います。たとえ語学が綱渡り状態でも、この1年で学んだことは私の財産です。

 

新しい道を探すのは、不透明で面倒くさいことばかりだと思います。でもインターネットがある現代は昔に比べたらはるかに自分で調べられることばかりです。ご自身が納得いくまで調べることで、ひょっとしたら想像もしていなかった扉が開くこともあると思います。

頑張ってください!私も奇跡を信じてドイツ語頑張ります。

あれ、ちょっと違うか。笑

 

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1年前の入試で泊まっていたホテル。ここで1週間、灼熱のアトリエでの試験に通いました。ちゃんとした机のある安いホテル探すの面倒くさかったなぁ…。