母親がオレオレ詐欺の被害者になった話。

タイトルそのままなのですが、母がオレオレ詐欺の被害にあってしまいました。

朝起きて、LINEに「詐欺にあいました」と一言メッセージが入っていた時はえぇ〜と驚いたとともにひやっとしました。話を詳しく聞いたところ、中々に巧妙だったのと、母が騙された最大の要因が「子供達が日本にいない」だったので、ここでもシェアしたいと思った次第であります。はい。

 

原因はシンプルにこれまた海外で仕事をしている弟のLINEがまず乗っ取られたところからスタートです。母はそのことを(もちろん私も)知りませんでした。普段から私と母は友達のように連絡をとりますが、弟は用事がある時のみの塩対応。笑

たまたま彼に用事がなかったので、LINEが乗っ取られたという連絡もありませんでした。それはそれで、どうかと思うけど、弟よ。

 

そんなわけで、そのLINEを使って母宛に「5万円をWebマネーで用立ててくれ」という連絡がありました。過去にお金を借りたことなど一度もない弟が、どんなに困っても地道に働いてなんとかする無借金の彼が、そもそもLINEのメッセージでいきなりお金を催促するわけがない。そもそも、私も弟も海外生活用の資金を親に用意してもらったことは一度もありません。そんなことは家族なら誰もが周知のはずなのに、ここに落とし穴がありました。

 

私の両親は日本から出たことがありません。二人にとって「海外」はもはや「宇宙」です。未だに、私に「布団送ろうか?」と聞いてくるくらいには、現地の様子が全然想像できないようです。つまり、いかなるイレギュラーも起こり得る、という親心につけこまれてしまいました。

 

巧妙に母をコンビニまでWebマネーの手続きに誘導する犯人。Webマネーなど人生で初めて耳にした母が手続きできてしまうほどに、その説明は華麗だったらしいです。そしてその間も、母が心配して電話するも繋がらない。ですがここにもさらなるトリックが。弟の連絡先から折り返しの電話が何度も鳴っては、「電波が悪い」というメッセージも一緒に届いて、すぐ切れてしまう。このやり取りにさらなる「何かあったんじゃ」を募らせた母は、私に相談する隙もなく(普段は大抵事前に私に相談がある)お金を振り込んでしまった。

 

すると、味をしめた犯人。「やっぱり10万」と額を釣り上げてくるではないか。

そこで、さすがの母も気がついた。人生で一度もお金を催促したことがない彼が、こんなメッセージで2度目を、こんな間隔で聞いてくるはずがない!と。おかしい!と。

 

そこで、弟の彼女に連絡を試みる。そして、その彼女経由で、彼のLINEが乗っ取られていて、すでに海外に住む現地の友達の元にも同じような詐欺メールが届いていて、アカウントを凍結していたことが発覚。詳しくは聞けてないのですが、どうもアカウントの凍結手続きしても、クレジットカードのように即刻止まるわけではないようです。つまり、弟は凍結したから大丈夫と思っていて連絡を怠ったようです。

 

そして慌てた母はとりあえず、私たちの家族LINEに「詐欺にあいました」とメッセージを送ったというわけです。

送ってよかった。

ちょうど同じ頃、危うく叔父さんも騙されかけていました。叔父さんも同じく海外旅行の経験がなく、私たちがLINEでお金を催促するような姪、甥じゃないと知っているからこそ「これは海外で生活するのは相当大変なんだろうな。お母さんには頼めないんだろうな。内緒でなんとかしてあげるか」モードに入っていました。母が気がついていなかったら、叔父さんも第二の被害者になっていたことでしょう。

 

弟は母からの連絡を受けて「騙されるわけないと思っていた」と驚いてたらしく、私も正直同じ気持ちで、母が騙されるわけないと思っていました。それと同時に、顔が見えない場所で生活している今の生活を、口には出さないけれど、実は相当心配しているんだということを思い知らせされました。日本に住んでいたら、多分騙されなかったと母も言っていました。

 

そなわけで、最初に電話でその話をした時はしょんぼりしていた母。

でも私の「お母さんは悪くない。騙した人が悪いんだから」の一言で少し元気を取り戻し、最後には「よくWebマネーなんて手続きできたね。教えるの上手すぎじゃない?」と笑って冗談が言い合えるようになりました。

 

その後警察では、被害額も小さい(我が家的には打撃)からか、めんどくさいのか、「被害届出すか考えたほうがいいですよ」という謎のアドバイスをもらって一度帰ってきた母。いやいや、捕まるかどうかは警察の事情であって、被害にあったんだから、被害届出すでしょうよ。出したほうがいいよ、という私の助言を元に、再度警察に出向くことになったのでした。ここからは警察の人にどんなめんどくさい顔されても、淡々と手続きしておいで〜と背中を押しました。

 

ちなみにこの手口はとてもよくあるパターンだそうです。

怖い。話を聞いていて、私も割と弟とは疎遠なのですが、だからこそ「こんな私に連絡してくるなんて、相当だろう」と思って騙される気がします。

 

警察では気がつくのが早かったですね、と言われた母。結構騙されたことにしばらく気がつかないケースが多いそうです。それも怖い。

 

お金が返ってくる可能性に期待はできませんが、人の愛情に漬け込むタイプの極悪人にはぜひとも悶絶級の仕打ちが待っていることでしょうよ。そちらの可能性には大いに期待したいと思います。犯罪許すまじ。