民主主義な大学生活。

絶賛風邪をこじらせてポケットティッシュ(バリ硬)が手放せません。おはようございます、kikiです。

 

このサディスティックな紙ナプキンのようなもの(というか紙ナプキン)でひたすら鼻を擤むので、鼻の下の皮が向けております。赤い鼻をした私を見て「oh,arm kiki~」とみんなに笑われてます。

 

ちなみに、日本では人前で鼻をフンガーと擤むことはあまりよろしくありませんが、こちらでは鼻をズルズル言わせて啜る方がマナー違反との事です。すっかりなんの恥ずかしげもなくフンガーとしているのですが、日本でもうっかりやってしまいそうで今から心配です。

 

まぁ、マスクもせずに薬も飲まない集団生活の中で誰か一人が風邪を引けば、すっかりうつるってもんです。私も誰かにうつしてきっと回復するのでしょう(おいっ)。笑

 

今までで一番取っているコマ数が少ないのに、週末もアトリエに缶詰なのがどうしてなのか誰か教えて欲しい…。と思っていたのですが、夏頃からスタートしたアルバイトを平日の夜にしているからです。ドイツ語のクラスをお休みにしたので楽になるかと思いきや、その倍以上の時間をバイトに費やしているので、簡単な算数であります。

でも、奨学金も満期で受給が終わってしまったし、生活資金が必要なので。致し方なし。働きます。

 

そんなわけで、予想を反して中々にハードな日々であります。

そんな中、現在大学の方はある話題が白熱しております。

 

「カリキュラムの改訂」

 

これは私がここで勉強し始めた二年前からすでにあった話題です。

私たちの専攻では Technisches Zeichnen が必須単位として16単位組まれています。Technisches Zeichnenは簡単に言うと、セノグラフィーについての図面です。建築の学位を持っている先生が2人それぞれ授業を請け負っています。一人はAutoCADをメインとしたComputergestütztes Zeichnenでもう一人の先生が手描き製図の授業を行っています。

 

ファーストセメスターでは、そういうものか〜くらいな気持ちで受けていたのですが、時が経つにつれて素朴な疑問が湧いてきます。

 

PCで3Dまで書けるのに、何故に手描きの製図を同じ分量勉強するのか?

 

そして、毎セメスターやってくる交換留学生に「手描きの授業?マジで?初めてなんだけど」と驚かれ、建築学科の人にも「手描きそんなに極めてどうするの?どこで使うの?マジで?」と真顔で聞かれる。

 

そう、マジで?ってくらいこの手書きの授業が、卒業後使う予定もないのに4年間続くのきつい。ということに我々は気づいてしまったわけです。

 

手描きの図面はちょっとクリエイティブチックでアンティークチックで、美しいのですがいかんせん時間がかかるし、場所もとるし、何より書き上げたところで汎用性が非常に低いのがネックです。原本と原寸でコピーしていただかなければならないし、そもそも1:25ぐらいのスケールで模型を作り図面に起こすとA3をゆうに超えてスキャンするにも一苦労です。かといって建築のようで、アートピース的な細かいディティールがメインな劇場建築はA3に収まりそうな1:50とかでは描ききれません。描けてフロアと断面図が限界。というかそれも結構きつい。とにかく、一回書けば縮尺を自在に操れるAutoCADに比べると実用性が低い。

 

毎セメスター、終わりが近づくと学生のみでクラスミーティングが開かれ色々と改善点や所感などを話し合います。この二年毎回、この「手描きの授業多すぎじゃない?っていうかファーストセメスターで大枠理解したら、もうコンピューター一本でいいんじゃないか?」という話を繰り返してきました。

 

そしていよいよ、今年、大学側に正式に要請を出すことで全員が一致しました。

冬セメスターには年に1度の専攻の担当教授と先生が全員集まるカリキュラム会議が行われています。そこに要望書を提出したのです。

 

主任教授たちも私たちの意見に耳を傾けてくれました。

が、じゃあそうしましょうってな簡単な話ではありません。カリキュラムを変えるというのは一大事。そもそも将来的にどうあるべきか、ということを明確に盛り込んだ計画書やら何やらを用意しさらに他部署へ上げていかなければなりません。卒業に必要な単位数は変わることはないので、何かを削り、何かが増える質量保存の法則のごとく調整が必要なわけです。

 

というわけで、今週ウィーンの劇場や建築の専門家を招いてのパネルセッションがアトリエで開かれました。私たちの考えが、現行の劇場・空間芸術の分野において的を得ているのか、変える価値があるのか、ということをトークしてもらい内容を精査するためです。

 

感想は、カオス。

現役でも40代以上のアーティストはもうアシスタントが全部やってくれちゃうし、自分の時はデジタルで図面を書くこともなかったので「それより芸大なんだから芸術要素をしっかりやるべき。テクニカルシューレじゃないんだからさ。図面?手描きの方がクリエイティブじゃん(大雑把)」「アシスタントになったら自分でデジタル極めればいいじゃん」とパンクなご意見。それに対して30代前後のアシスタント時代にデジタルが必須だった世代からは「手描きのメリットなんてほぼないよ。かわいそうに。アーメン」って感じでした。脚色が過ぎますが、そんな感じで、第2回開催が必要な様相でした。

 

正直なことをいえば、私はすでにこのテクニカル系の授業の履修単位をほとんど取得しています。カリキュラムが変わったところで、自分に直接は関係ありません。というか、ことの大きさを考えると、今回要望を出した私たちの世代が改訂による何かを得ることはないだろうと思います。主任教授にしても、おそらくあと数年で教授職は定年を迎えるだろうと思われるので、まぁ関係あるかと言われれば、大きくはあるようでない。

 

ですが、ここはもう身をもって、この手描き授業のキツさを味わった我々が次の世代のためにも声を上げるべきであり。先につなぐ使命があるのではないか、ということで。正直しばらくこれについて色々と時間を割かなければならないことは明白ですが、じっくり取り組みましょうという雰囲気です。

 

拝啓、国会でぐーすか寝ているおじ様方、聞いてますか?消費税を15パーセントまで上げないとやってけねーだろう、このやろうっていう国際的な報告書を突きつけられてもなお寝ていられるあなたがたよりよっぽど。 民主主義な日々を過ごしております。

 

ここでは、福は自分で勝ち取るもの。ですよね?

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そんな皮肉な今日のブログでした。