自分の居場所になっていく。

ウィーンで生活し始めて8ヶ月目になりました。

今までは10ヶ月から11ヶ月目で日本へ帰国していました。2ヶ月前には帰国日も決まり、さて日本で何しようかと考えていた感じです。一番は何食べよう、でしたが。笑

ですが、今回はそれがありません。次回いつ日本行きの飛行機に乗れるのか未定。

 

寂しいなと思うこともまだまだあります。生活で辛いことがあると、大好きな瀬戸内海の景色を思い出して、もうあそこで暮らしたいと思い悩むことがあります。年をとる両親が心配で、元気なのかと電話をする回数も増えました。大好きな友人をスカイプで捕まえて長話に付き合ってもらったり。でも結局は朝のぼんやりした頭で電車に乗って、アトリエへ行きます。

 

辛いのか、楽しいのか一言ではわかりません。言えることといえば、恵まれた環境であること。そして私の居場所を私よりも周りのみんなが作ってくれていること。

 

 

先週1週間は深夜帰宅し朝からまたスタジオ、と云う日々で、久しぶりにカツカツでした。でも充実したワークショップをベルギー人のアーティストの先生と経験できて嬉しい忙しさでした。夕食やランチも共にしてくれる方で、制作を含めて1週間スタジオメンバーと彼女と丸っと過ごした感じです。コーヒーを度々ご馳走になりながら、憧れの学校を卒業し、世界中で仕事をする彼女の話は本当に面白くて刺激的でした。彼女の授業を取り始めて2セメスター目ですが、実はとてもシャイな人で目を見て話してくれるようになったのは最近です。それは私の今回の作品を通して、彼女が私に心を開いてくれた瞬間でもありました。経歴より、語学能力より、心を動かして生まれたものが一番説得力があるのだということを今回感じました。

 

東京で仕事の依頼がある彼女は、最後まで私が東京にいないことを残念がってくれました。情けないことですが、夏中にドイツ語をなんとか習得しなければならない私。彼女がアシスタントに指名してくれても、一緒に東京へ行く余裕がありません。それでも最後まで「ミラクルが起きて東京に行ける状況になったらすぐ連絡して!」と私の両頬にチュッチュッとしてベルギーへ戻って行きました。

 

私はこの夏ウィーンに缶詰です。もちろん教授や先生たちの仕事を見に週末にヨーロッパ各地へ行くことはありそうですが、基本的にドイツ語の夏!兎にも角にもドイツ語!語学でここまでつまづくのは初めてですが、求められているレベルも今までの比じゃないので頑張るしかありません。

 

そんな私に、友人たちは「一人にならないように」とたくさん声をかけてくれます。

「8月はウィーンに戻るから、毎日私と話してドイツ語練習しようね」

「寂しくなったらいつでも連絡して。私の家族はウィーンに住んでるから。特別なことは何もないけど、一緒に私の家でファミリータイムしようね」

 

居場所というのは自分で作るものだと思っていました。でも具体的にどうすればいいのかいつもよくわかりません。現地の言葉を頑張って勉強するとか。その土地の文化を学ぶとか。今までだってそうしてきたつもりでしたが、いつだって私はお客さんでした。

 

初めて、ドイツ語の問題をクリアすれば、ここには居場所みたいなものができるのかな?という気持ちがあります。相手にストレスを与えない語学力をここまで欲したのは初めてかもしれません。年齢が一回り離れている私に彼らは「年齢?そんなの気になったことない」と言いながら「kikiは大人だからきっといいアドバイスをくれる気がする」と頼ってくれたり。べそべそと泣く私をぎゅっと抱きしめてくれたり。

 

大学を卒業したら、皆ベースとなる都市がバラバラになるだろうと思います。でも不思議と同じ場所に留まっていなくても、このコミュニティを居場所と感じられるような気がしています。うまく言葉にできないのですが「心を持寄る」ということを彼らに教わっているような。そんな気持ちです。