ウィーンな夜。

休日に外で会ったり、お家にお邪魔したり。スタジオの皆んなとは仲はいいですが、制作に関係なく、イベントも関係なく、会う友人は結構少ないです。でもグループ意識が薄いこの環境は時々襲う寂しさも含めて、意外と気に入っています。孤独に慣れるのもこのウィーンでの課題だと思っています。

 

昨日は数少ないその友人の一人が年明けから準備していた自主公演の初日でした。彼女は今セメスターが単位を取る最終セメスター。次のセメスターではパリの大学へセメスター留学し、そのまま向こうでインターンの予定です。そして1年後に帰ってきたら卒業制作に取り掛かります。彼女はオリジナルの作風を築いていて、「らしさ」を持ったアーティストです。それを存分に感じる広がり。彼女の人柄が、音楽家たちとのコミュニケーションに生かされた、そんな空間でした。

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一緒にプロジェクトを行ったのはウィーン国立音大の院で勉強する声楽家とピアニストです。距離が近かったことも相まって、響の素晴らしさに酔いしれました。私は自分がクラシック好きだとは思っておらず、今も特に大ファンと言うわけではないのですが、やっぱりこれはウィーンのクラシックのレベルの高さなのでしょう。うんちく抜きに、単純に感動します。クラシックは知識があるほど面白いとよく言われますが、いい演奏は素人にも届くようです。知識がなくても、五感で十分楽しめる演奏を届けてくれます。顔見知りのピアニスト、私はてっきりピアノを弾くために出演するのだと思っていました。大きな間違いでした。突然ピアニストが朗読し、歌い出した時に音楽の懐の深さというのを知り、あの演出で、一瞬でこの演目がどう広がっていくのか予想ができなくなりました。彼女のピアノが今回の公演を支配していた気がします。

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私はまだ何も知らないんだなぁ。

 

ちょうど教授がウィーンにいたことで、教授をはじめ先生方も見に来ていた公演。公演後に彼女へ拍手を届けに行ったら「Liebe Kiki~!批評を聞くのが怖いよ〜」と眉を下げていました。でも「大丈夫だよ。だって素敵だったもの。ぜひ聞くべきだよ」と、彼女の背中をぐいっと押しました。先生方に囲まれて何を話したのかは知りませんが、笑顔が見えたので、いい会話が生まれていたようです。

 

とっても素敵な夜でした。音楽って素敵だなぁと素直に思いました。