テレビ、アレクサンダー・クルーゲ、セカンドセメスター。

昨日は気温34度、今日は20度と体がついていかずお疲れ気味です、こんばんは!

食欲が減退中なのですが、暑さのせいと言うより日本食が恋し過ぎる…今一番行きたいところはナントカ宮殿とかおしゃれなカフェより、IZAKAZA! 居酒屋に行きたいです。ジャンクな日本食が食べたいです。安い焼鳥、厚焼き卵、明太子とじゃこのサラダ、浅漬け…ゆず大根…。ストレスフルで明日からドイツ研修に行ってきます…1週間みんなとご飯を共にするのでパスタ祭りだと予想を立てています。はぁ。笑

 

今セメスターもあと1週間です。早かった…。最後の1ヶ月がキツかったです。授業数の多さがネックでした。20クラス、全て必須科目なので、留年(エキストラセメスター)を取るか踏ん張るかの2択です。さらに、どれもテーマがバラバラだったことと、制作期間が地層のようにどんどん重なってしまったことが首を締めていました。AやってBやってCやってDやって、またAに戻って、合間にFとGが同時進行、気がついたらまたBもやらねば、みたいな。きっと地層同様、合間に化石化した色々が転がっていると思います。夏休みに採掘しなければ…。

 

総括すると、ドイツ語の成長とセオリーや技術の入口を通過し、身になったサマーセメスターだったなぁと思います。今日、授業後に前セメスターの制作物の設計図面を一から書き直したのですが、前回は2ヶ月悩んだものが、今回は2日で方が付きました。半年前は先生に指摘された箇所以外の問題点に気がつけなかったのですが、今回は書きながら新たな設計上の問題点に気がつくことが出来た、そんな自分に驚きました。気がついちゃったので、また書き直しなんですけどね。笑

 

とりあえず最後のドイツ研修まで漕ぎ着けたので、あと一息です。同級生5人中私を含めて3人がなんとか必須科目をやり遂げたのですが、ドイツ語ネイティブの彼らも相当疲れているので、言語云々でなく、セカンドセメスターは忙しい設計なのでしょう。

ドイツ研修はドイツのある芸大との共同プロジェクトです。2ヶ月ほど前、最初にその大学のスタジオを訪問して帰ってきたクラスメイトたちは一様に「方向性が違いすぎてびっくりした。エンターテイメントと芸術が切り離されていない典型」とかなり辛口でした。もちろん、どんなケースからも学ぶことはあるので、プロジェクトは順調に進んでいます。

 

私のスタジオでは極端に「エンターテイメント」が毛嫌いされています。私も好きか嫌いかは置いといて、エンターテイメントが社会に落とす波紋について、危機感もあれば、うんざりすることもあるので、エンターテイメントが主題として登場しない今の環境は居心地がいいな、という感じです。自分が将来そういうところと関わるのか、今の時点では不透明ですが、現段階で自分と相性がいいかは、確かに疑問ではあります。

 

今日、オーストリアのテレビディレクターがゲストのセミナーがありました。演劇、オペラやクラシックコンサートをテレビで放映するときの制作について、というのがテーマだったのですが、ディレクターが討論で発する理由が印象的でした。

 

「パジェットの問題」

「テレビ視聴者は代わり映えのない場面をじっと待ってはくれない」

「舞台のディレクター自体、テレビでの放映のされ方にほとんど口を出してこない、だからこちらでテレビ的にやる」

 

私はウィーンに来てからテレビを見たことがありません。さらには、ここ7年ほど個人でテレビを所有しない生活を送っています。これを言うとテレビ嫌いと思われそうですが、一番の理由は日本と海外を行き来するうちに、家具を持つのを止めたから。その中で、テレビが見たいと思うことも無いため生活の中から姿を消しました。

 

彼女の言い訳(理論性を欠いており言い訳と言わざるおえないのですが)それを聞いていて果たして本当にそうだろうか?と思うことがあります。確かにネット社会の昨今は「つかみが大事」とか「インパクトのある導入が必要」という理屈はエンタメである以上、理解できます。でも果たしてテレビ視聴者は「分かり易くなければ理解できない」人たちなんだろうか。分かり易く理解できるものしか提供しないから、そういうものに興味がある視聴者しか残っていないのでは無いか…というのは、制作費が常に審議にかけられるメディアでは議論できないことなのかもしれません。現実問題として。

 

今日のセミナーを受けながら、昨日観に行ったアレクサンダー・クルーゲの展覧会を思い出しました。6月に私たちは2時間ほど彼のセミナーを受ける機会に恵まれました。最新作のプレミアにも参加した上での展覧会。彼自身の主張には共感することも多く、とても興味深いです。

 

こちら、展覧会のインフォです。

www.belvedere.at

回し者かのようにBelvedere Museumのことばかり紹介していますが、現在の展示はどれも面白いので許してください。4回訪問し、やっとコンプリートしました。

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クルーゲの展覧会場は地下です。

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今回の展覧会はもともとドイツで開催されたものがきっかけだそうです。

youtu.be

youtubeでハイライトを見つけたのでシェアします。ドイツ語しか見つからず、すみません。彼を知らない方には映像だけでもどんな作風かくらい伝わるのでは…!

 

ウィーンの担当キュレーターの方と彼のエピソード。「こちらがモニターを8つ用意すると言えば、彼は、じゃあ映像作品は11個流そうという。それなら11個用意できると言えば、7つ流そうという」が、うん、なるほどでした。

 

友人たちの話では、彼はドイツでとてもポピュラーな作家です。家で両親が彼の映画を観てるよ、というくらいに。テレビ画面を通す時に、全てが需要者の責任であると言い切ることは出来ないように、私の生活からの供給が需要を理由にしていないかもう一度考えるべきだなぁと思ったセメスター終わりでした。