いろいろドキドキしているので、魔法の言葉をもらってきた。

来週からいよいよリハーサル期間に入ります。なんのことか伝わらないことと思いますが、去年の夏からえっちら、ほっちらと続けていたインターンです。それに際して、お会いしたこともない色々な部署の方からメールを頂いては、返信するのに「女性だろうか男性だろうか、はたまた…」とグーグルで名前を検索する日々です。ドイツ語ではHerrなのかFrauなのかを書き出しで明記する習慣がありましてね。日本語の〜さんって万能だなと思い返しています。ジェンダーレス。でも私の日本名の方が謎だろうから、先方も同じことをしている気がします。もれなくFr.Kikiってご名答だから、そんな気がします。

 

というのも、コロナ第二波真っ只中のため、身一つで出向いたり参加したり、が出来ません。初日にまずはPCRテストです。本当は最小人数でリハーサルをしたいとの劇場からの申し出でインターン生は危うく全員リストラされかけたのですが、そして泣く泣く切られたのですが、私のボスが「kikiはかれこれもう1年半もこのプロジェクトのメインリサーチャーだから必要!」と押し切ってくれ、一人だけインターン生で参加します。肩身激狭です。

 

そう、だからドキドキしているのです。人を3人も介せばコロナはすぐそこ状態のウィーン。遊びにもいかず、マスクをつけ、消毒を持ち歩いて対策バッチリの私ですら、乾燥してちょっと咳が出るだけで冷や汗です。病気にかかってはいけないなんて、こんな最難関ミッション金輪際ないのではないだろうか…なんて時代だろうか。

 

 

そういうわけで、私は劇場からは全くウェルカムじゃない人間なので、わかりやす〜くちょっと冷たくあしらわれています。そもそもヨーロッパ圏の劇場は(日本はわかりませんが)超ヒエラルキーな社会なのです。スイスも、フランスも、ドイツも、インターンへ行っては、泣きを見る。というのも私たちが普段触れ合っている教授陣はもはやスタープレイヤーで余裕もありまくりなので、私たちにDUを許すくらいに優しいし、階級社会感は超薄い。ゆえに、ギャップにおののきます。劇場チームにはそちらの言い分があるのでしょうが、学生からすれば汚い大人社会の一言でしょう。私は悲しいかな見慣れた光景で、アラフォーを痛感。こういう景色って基本的に万国共通なのかな…人間って浅はかな生き物よね…とスルースキルをここでも発揮中。

 

ちなみに簡単に構図を説明しますと、オペラハウスや劇場との専属契約を持つ人々(社員ですね)がそれぞれの部署(アトリエ)で働いています。ですが、公演ごとにアーティストチームが毎回入ってきます。演出家、ドラマトゥルグ、舞台美術家、衣装、場合によってはライティングまでを含んでチームでゲストのような形で制作を行います。私の立場はこのゲストチームのアーティストのインターン生ですが、最終の書類は劇場から貰うというなんとも不思議な立場です。劇場から書類がでない場合もありますが、その場合はアーティスト個人で書類を大学充に用意してもらうことになります。私のボスは大学のスタジオ主任教授です。アーティストのインターンってのが鼻につくんだろうねっていうのはコロナ関係なく大前提としてあります。知ってる。

 

私は私で、ウェルカムじゃないのは承知だけれど、これがキャンセルになると卒業が1年は延期されてしまうので必死です。必死で息を潜めて、存在を悟られないように静かに12月まで参加したい、その一心です。丁寧に扱われたいなんて思っていませんし、まぁ、常識的な対応であれば花マルぐらいの気持ちです。ただ、反面教師的に、そんな風に人に接しない人間になりたいとは思って、心では毒づいています。あっ本音。

 

そんなわけで、最近大学に行くとちょっと愚痴っぽい私。

でもみんなも経験していることなので、スローガンがあります。

 

Wenn du lernen willst, nicht mehr alles persönlich zu nehmen.

 

学びたいなら、なんでもパーソナルに受け取るなよってね。理不尽すぎる場合には、黙っていない人たちですが、ひとまずはこうやって慰め合います。何より自分たちのボスが人格者で有難い限りなので、なんとか乗り切れそうです。

 

さて、そんなドキドキしている私の元に、恐ろしいメールが。なんとクラスメイトのバイトしている職場でコロナがでちゃったと。とりあえず、彼女のテスト結果が明日には出そうなので、それまで全員自宅待機です。スタジオでは厳格なソーシャルディスタンスがルール付けられていますので、クラスターはないとは思いますが…何より、彼女が陰性でありますように…ただカテゴリー1に分類される彼女は陰性でも10日間の自宅隔離です。私は映画でもお届けしようと思います。病院への負担を考えると、テストをやりまくり、感染者を隔離し、感染スピードを抑制し、ウィルスの毒性が強まらないようにしなければなりません。日本では、あんまり報道されなくなったらしいコロナですが、欧州ではトップニュース扱いは変わりません。もう比べても仕方ないので、もはや違うウィルスだと考えてしまいたい今日この頃です。

 

さて、話はそれましたが。

インターンを目の間に、在留許可の更新や、読まねばならない本が山積みで連日こんな時間まで作業しています。ついでにバイトを休むにあたって、代わりの人用にマニュアルをドイツ語で作成するというエキストラジョブまで発生中です。ドイツ語でマニュアル…マジで時間かかる…と半べそでやっております。未だに日常のボキャブラリーの方が乏しいです。水で薄めるとか最近動詞を知りました。えへ。

 

あれ、また話はそれましたが。

超絶落ち込んでいた9月と10月前半は過ぎ去り、これから6週間、雨ニモ風ニモコロナニモ冷遇ニモメゲズニ、インターンを走りきりたいと思います。その間に無事在留許可も更新されますように…。

 

みなさま季節の変わり目、お身体ご自愛ください。