半旗、掲げて。

日本でもニュースになっているようで、こんなことネタみたいに書きたくないけれど、日本から届く心配の連絡を受けて、個人的な周辺のことだけ書き残します。

 

今日はすべての予定がキャンセルになりました。

早朝のコロナテスト(こちらは毎週ある劇場のやつです)も、リハーサルも、大学もすべての建物が閉鎖する旨連絡が届きました。できる限り、可能な人は、安全な場所に止まるように警察からも要請が出ていて。

 

昨日は21時までリハーサル場にいました。事件のあった場所からはトラムで20分くらいです。リハーサル場はインターネットの接続が悪くて、事件が起きた20時頃から1時間ほど遅れて、21時に終了して部屋を出た頃に急にみんなの携帯が鳴りだしました。私も、お昼にZoomでクラスミーティングに出ていて、私が夜間までリハーサルなのをみんなが知っていたので心配して連絡が。そこで何が起こっているのかをおぼろげに理解しながら、ちょっと人里離れた場所にあるリハーサル場から帰宅できなくなる可能性が出てきました。被疑者逃走中のため公共交通機関を封鎖するとアナウンスされていたからです。

 

それでも、いまいち状況がわからない我々は、とりあえず散り散りに帰宅を試みることに。結果的に全員が帰宅できたのですが、これはあまり良い判断ではなかったかもしれません。とはいえ国立の施設に滞在していたって安全かと言われれば、動機がわからない段階では混乱しかありませんでした。

 

普段はトラムを二つ乗り継いで通勤しているのですが、みんなからトラムは危ないから地下鉄で帰るよう諭されて、とりあえず遠回りになるけど地下鉄へ。

 

駅に降りてみると、人が走ってるし、見たこともない大きな銃を持つ警察官が大勢警戒していて、物々しい。その時点で一人になっていた私は、引き返すか悩んだものの、携帯の充電ももう残っていなくて、ギリギリ動いてた最後の地下鉄に乗って、帰宅の途へ。すれ違うのは大量の警察車両と救急車と、電車が止まって立ち往生している人たち。携帯の電池もないので状況がいまいち飲み込めないまま、行けるところまで地下鉄で移動して、途中で公共機関が封鎖されたので、歩いて帰りました。いまいちど考えると、何が正しい行動だったかわかりません。

 

23時前に家に着くと、携帯の電池が切れて連絡が取れなかった私を心底心配していたルームメイト達に迎えられて、その顔面蒼白具合に、事態の深刻さを察知しました。

 

帰宅して、携帯をチャージして、すぐに大学から安否の確認がありました。デンマークに住む友人やニューヨークにいる友達のところにも現地と同じスピードで速報が流れていたようで、返事が遅くなって心配をかけてしまい申し訳なかった。今仕事を手伝っている教授からも連絡が来て、今日はそれでも朝から別の先生がZOOMで授業をしてくれました。みんなの顔が見たかったと最初にそう言ってくれ、授業に顔を出さなかった学生がいないかどうか一人づつ確認していました。

 

被害者の方がいることですので、これ以外のことをここに書くのは控えたいと思います。今日、すっからかんの冷蔵庫と、中心地ではない立地であることで、ルームメイト達とほんのつかの間、徒歩3分のスーパーにだけ出かけました。歩く道すがら、目に入ってきたのはオーストリアの国旗、半旗に掲げられている姿でした。ルームメイトの一人がそれを見て、泣き出してしまい、すぐにまた帰宅しました。

 

ウィーンでの生活は色々なことがあるけれど、人とすれ違う時に緊張するような街ではありません。決してすべてが溶け合いうまく融合しているとは思えない街でもありますが、それでも「安全な場所」だと、そう感じていただけに、ショックが大きいです。ルームメイトとも、なんでウィーンで?なんで今日?と全く思い当たることもなく、ロックダウン前夜で人通りがある日が狙われたのか…と。昨日の夜は混乱していて口から出たけど、今日は静かにみんなで夕食を作って食べました。

 

ちょっとびっくりしすぎて、ニュースは一人で見られませんが、逃走犯はもういなさそうだとの発表で、学校等の施設の閉鎖は解かれました。明日は今日の分のスケジュールのカバーをする旨連絡があり、また働きに出ます。

 

こんなこと、ここに書く日が来るなんて。

ich möchte der familie und allen, die Opfer nahestanden mein aufrichtiges beileid ausdrücken. Es macht mich sehr traurig. Sehr.