ウィーンで国立大に行ったらおいくら?貧乏でも大学のサポートが手厚い話。

暑い!暑すぎる!体感38度くらいな毎日です。外はそんなことないのですが、アトリエは確実に38度越え、間違いなし。最上階でかつ、建物が1877年頃の設計、施工なので…地球の温暖化を肌で感じます。朝最初にすることは遮光ブライドを下げて日光を防ぐことです。日が入らないだけで多少マシになります…。

最近のアトリエヒット商品はこちら。アフォガードです。今日も暑くてぐったりしてきた頃に友達がどんっとみんなに作ってくれました。アイス生き返る〜。

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でもスプーン全部が食洗機の中で泡まみれ中。「定規でも使って食べて。てへ」って渡されました。えへって苦笑いして、受け取りました。本気だったかもしれない。笑

 

1日の中で、このアフォガードが贅沢品に思えるぐらいの貧乏生活を送っています。でも不思議と気持ちは貧乏ではありません。水道から出る水は冷たくて美味しいし、ブランド物を着る必要も、ジェルネイルをオススメされることも今はありません。

 

もちろん、日本でのそういう贅沢も良いと思います。好きなものを、好きに身に纏えるというのは素敵なことです。手の込んだお洋服も、高い技術のネイルも、素敵なディナー、もちろん好きです。私は、今、そういう環境にいないということです。

 

ではどんな状況なのか?ウィーンの芸大生ってどんな経済状況なのか?

身近なことしかわかりませんが、とにかく質素です。

 

 

学費について

EUの子達は1セメスター363ユーロちょっとの学費を支払っています。EU外の学生は1セメスター726ユーロちょっとの学費を支払います。これにプラスして学生組合の料金が20ユーロ弱追加されます。1セメスターはだいたい4ヶ月なので、月計算でいうと、約186ユーロ。日本円1ユーロ130円で計算すると約2万5千円くらいです。この学費で朝から晩まで授業を提供してくれます。

 

授業の費用サポート

授業にも十分な予算が付いています。最低限必要なものは大学の予算で用意されていることが多いです。

  • 課外授業で訪れる美術館や博物館の入場料
  • 遠出した時の交通費                            

先生方が事前に予算を申請していて、今のところほぼ個人で支払ったことはありません。演劇やコンサートのチケットに関してはケースバイケースですが、授業で評論文を書かねばならない演目は半額、大学が負担してくれたりします。オーストリアは学生料金の適用に年齢制限があり、大抵26歳以上だと適用されません。つまり私はフルプライスでチケットを購入することになるのですが、それでも半額持ってくれることが多いです。また、研修旅行が必須単位に組み込まれています。卒業までに最低2回は参加しなければなりません。最初にそれを聞いた時は、日本の修学旅行を思い出し「どうしよう…参加できるかなぁ。高いよなぁ」と心配していました。結論からいうと、今セメスターの期末にドイツへ研修に1週間いきます。私が負担する費用は20ユーロです。それ以外の交通費と宿泊費は大学が出してくれます。もちろん一番安いルートで行きますし、ドミトリーにみんなで宿泊します。合わせても一人300ユーロもしないでしょうが、私達にとって300ユーロは大金なのです。

 

挙げればキリがありません。卒業制作にも多少の補助金が出ます。1セメスターごとに、画材費の補助金も申請できます。これはÖHと言う組織から各スタジオに割り当てられるものを、担当の学生が先生と相談して個人の割り当て金を決めています。オープンアトリエの時にはスタジオ単位で制作費が大学から支給されました。昨年は30万強でした。

 

来年はアトリエのキッチンの全面改装が入ります。予算は50万強。もちろん大学持ちです。このキッチン改装の話には心底驚いて、なんで?って聞いてしまいました。笑

 

国立大学なので、オーストリアのみなさんの税金の上にあぐらをかいて私は勉強しています。頭が上がりません。ただ、ドイツやスイス、他のEUからセメスターごとにくる短期留学生たちは、この状況にちょっと驚いています。研修旅行などは自腹、ラボの使用料なども個人持ちだと言っていました。

もしかしたら、私たちのスタジオは少人数、でも制作物がいつも巨大でグループ制作が多い為、予算のつき方が違うのかもしれません。まぁ、よくこの少人数でこれだけ予算さけるな…と思います。同じ大学の他のスタジオはだいたい倍の人数ですが、例えば遠出する時の交通費は半額支給が目安のようです。一概に大学全体がここまでか、と言うとスタジオの人数や方針によると思います。

 

これくらいのサポート無くして大学進学は難しい

個人的なイメージですが、こちらの学生は一般的な日本の大学生に比べて、親からの援助が少ないです。地方から東京に出てきた大学生で、一人暮らしする子は月に7万弱は家賃を親が負担するだろうと思います。私の周りには月に7万は生活費の全てと言う子が多いです。ウィーン育ちの子も含めて実家住まいは一人もいません。18歳で自立する。彼らは大人です。一人暮らしをしている子もおらず大抵はルームシェア。外食はほとんどせず、自炊。私の周りの話でしかありませんが、大学のサポートがあってこその生活です。そんな学生生活を先生方も理解してくれていて、できる限り予算をうまく割り当て、個人の負担を減らそうとしてくれます。学生=貧乏という認識です。

 

日本人にとってウィーンの大学は安いのか?

生活費だけみれば東京よりウィーンの方が安いでしょう。学費も日本の私大に比べたらもちろん個人の負担は少ないです(安いわけじゃないですよね、税金で賄われてるんです、ただ)。私が在籍しているディプロマ課程で勉強する場合にはマスターまで一気に終えるわけなので、費用対効果もいいかもしれません。一つ問題があるとすればオーストリアでは学生ビザで働ける時間に限りがあります。それだけで全てを賄うのは難しい、ごくわずかな時間しか働けません。日本なら大学生もアルバイトをして、場合によってはそれなりの収入を得ることが出来ると思います。そういう部分では、一概にウィーンが安いよ!とは言えないと思います。事前に資金を準備するか、経済的支援が保障されている場合は、ウィーンでの大学進学費用は日本より安い可能性はある。そんな感じじゃないかと思います。

 

長々と書きましたが、もし私がEU市民だったとしたら。オーストリアの高等教育における支援は、やはり手厚いと言えると思います。