寿司が好きに優しさを感じる。

金曜日にビザの更新へ行ってきました。

色々あったのですが、ことが済んでからまとめて書こうと思っています。私はどうも現在進行形なことを書く、さらにはトラブル系はことさら慎重になってしまうみたいです。ただのチキンなんですけどね。まぁ、要約すると大変だった、です。

 

さて、朝からビザの更新でなんともシンドイ思いをしたものの、午後からは制作のため街へ出かけました。月曜日には教授とのミーティングもあるので、ある程度今セメスターでの制作について話し合える材料が必要です。そのため、連日心身ともに、物理的にも精神的にもウロウロ。特にここ2週間は街角で座り込んでデッサンをしては、お腹を壊すの繰り返しです。手が動いている間は気がつかないのですが、夜になると体調が悪くなる。日中にお尻を散々冷やしてるからでしょうね。まぁクラス中風邪引いているんですけどね。笑

 

金曜日も夕方ごろ、路上の隅っこでデッサンを始めました。壁に寄りかかって書いていたら、中から上品なマダムがゴミ捨てのため登場!ドアとは知らず、すいません〜と言うと「いいのよ」と柔らかい笑顔で座り込むのを許してくれました。

 

その後も気づけば1時間ほど、黙々と手を動かす。

 

するとマダムが今度は荷物と鍵を持って同じ扉から登場。どうも私はマダムのオフィスの前に座り込んでいたようです。「素敵ね〜、芸大生なの?」と絵を褒めてくれました。「はい、大学生です」と答えると、「あら、何セメスター目なの?何か課題なの?」と興味を持って、なぜ私がなんの変哲もない路上で熱心にデッサンしていたのかを聞いてくれました。アートが好きなのか、特に不思議がることもなく私の制作の話に耳を傾けてくれました。

「ウィーンはどう?」と聞かれたので、「人が優しいし、食べ物もコーヒーも美味しい。文化のある街で好きです」と答えると、「あらシュニッツェル好きなの?」と笑ってくれました。そして「どこから来たの?ドイツ語はどこで勉強したの?」ととにかくフレンドリーなマダム。私が日本から来たと言うと「息子は寿司が好きなのよ〜」と。

 

私はこの海外の人が「寿司が好き」と言ってくれるのはなんだか礼儀めいた、最大の褒め言葉だと思っています。私はそんなに寿司は好きではありませんが。笑

日本からわざわざ来たのね、何か私が知っていること=あっ寿司!と共通点を探してくれる。知らない土地に来たアジア女性と共有しようとしてくれる(大げさですが)感じがとても心温まります。大抵、寿司が好きな人は寿司と車くらいしか日本については知らないのですが、だからこそ、ほんのり嬉しい気持ちになります。

 

マダムに「数ヶ月ここに通うかもしれないです、邪魔でないといいのですが」と話すと、「冬は寒くなるから、何か下に敷くものか折りたたみの椅子でも持っていらっしゃいな」と笑顔で承諾してくれました。

 

朝はイミグレーションでしょんぼりしましたが、午後にはこんなほっこりが。

 

私は人にしたことは自分に必ずかえってくるものだ、という幼い頃からの母の教えが今も心に染み付いています。小学生の頃、いじめにあった時に母に言われました。

「やり返そうなんて思ってはいけない。あなたが何かしなくても、人生というのは不思議で、してはいけないことをしたら、それはいつか違う形でかえってくる。あなたをいじめているあの子も、どこかで辛いことを経験する。あなたが何かしなくても、そうやって物事は回っている」

 

だからなるべく笑っていた方がいい。

マダムは「息子は寿司が好き」できっとご本人はそんなに好きではなのでしょう。でもあんな風に、どこの誰とも知らない私に笑いかけてくれた。ああやっていつも笑いかけられるマダムになりたいものです。

 

マダムと呼ばれるまであと数年もないでしょうしね。笑