恩恵満載。ウィーングリーンとオットー・ワーグナー。

先週の中頃から都市空間デッサンの授業と設計図の授業を交互に受けてきました。

とても気遣い屋の先生。優しすぎて、こちらが心配になる程です。今日の授業後、帰り支度をした先生に、生徒がそれぞれ声をかけているのが印象的でした。「とても素敵な授業をありがとう」と。気遣いっぷりに対する敬意といいましょうか。私も同じく感謝を伝えました。そんな私にあなたはAngenehm!と言い残し、今夜の便でベルリンへ帰って行きました。

 

気遣いっぷりが存分に発揮された授業。都市空間デッサンの授業では、美術館や博物館などを事前に予約して色々と連れて行ってくれました。特に感激したのがオットー・ワグナー建築のウィーン郵便貯金局です。

 

Österreichische Postsparkasse | WAGNER:WERK – MUSEUM POSTSPARKASSE

普段は月曜から金曜日の朝8時から17時半までメインホールを見学することができます。ホールの写真が全然ありませんでした。照明メインですいません。笑

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私たちは先生が手配してくれた専用のガイドと共に地下から屋上まで、建築全体を3時間ほどかけて巡りました。ツアーの前に「ノーフェイスブック!ノーSNS!」と釘を刺されたので、普段解放しているメインロビー以外の写真をみなさんと共有できず残念です。なんせ前後にセキュリーティーも付いてくる警戒態勢で、またその警備さんの顔が厳しいのなんの。個人用にこそこそ撮るばかりでした。

 

オットー・ワーグナーは1860年代後半から1900年初頭にかけて、ウィーンを代表する建築家です。そして彼の母校に通う私。言うなれば大先輩です。大大大…先輩。

この日建築ツアーでは彼の他の作品とからめながら色々と説明してくれたのですが、ウィーンに来てからの素朴な疑問が一つ解けました。

 

それはウィーングリーン(勝手に命名)。

街にはそれぞれ特徴的な色があると思います。私のウィーンカラーは駅舎や建物に使われる緑です。ウィーンというかヨーロッパの色彩は日本の色彩に比べてちょっとグレーがかっています。スケッチして、色を忠実に再現しようと思うと、グレイッシュの使い方がポイントになる感じです。でもウィーンの緑色はその中でもさらに特徴的。ウィーンに住み始めた時からずっと気になっていました。この緑色は一体どこから来てるんだろう?と。ツアーを巡りながら、彼の建築には存分にこの緑色が散りばめられていることに気がつきました。思い返せば、ウィーンの特徴的な建築を多くデザインしているのも彼ならば、都市計画家でもあった彼。なるほど〜発祥たるは、彼なんだろうか…。もしくは1900年前後の緑色なのかもしれません。

 

詳しい文献を読んだわけではないので、憶測ですが、なんだかするっとした日でした。

 

建物ツアーはどうも普段から開催されているわけでもなさそうです。先生が何のツテでアポイントを取ったのかは分かりませんが、なかなかに高額なようです。それにしても大学の経費の使い方には驚かされるばかりです。日本の私立の専門学校くらいしか私には比較対象がないのですが、オーストリアの教育費の規模が気になるほどです。国立大学なので、間違いなく国の税金で運営されているわけで。私たちEU外の学生から学費を取っているとはいえ割合も低ければ、日本に比べ非常に安い。その割には授業で連れて行ってくれる施設の入場料から演劇のチケットまで、大学払いばかり。授業が忙しくてアルバイトをする余裕など皆無な私たちは、一まとめに「貧乏学生」と見做されている節があります。まぁ間違いなく、大方は貧乏学生ですし、私もその一人なのですが。そんなこんなで、先生たちはあの手この手で私たちの経済的負担を減らすべく手を貸してくださるようです。

正直、ウィーンにほぼ税金を収めていない私としては恩恵にあやかりすぎていて恐縮するばかりです。でも身にして返すしかありませんので、授業に余すことなく出席するのみです。費用対効果を考えるあたり、酸っぱい大人になったようです。笑

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建物内部は載せられませんが、屋上からの景色だけでも。