生活スタイルが合わないルームメイトの話。

朝10時;近現代のフォトグラフィーセオリーの授業。この先生はカメラや映像機器にめっぽう強いのになぜかZOOMとは相性が悪く、必ず1度は技術トラブルで授業が中断される。そしてネット回線も不安定な先生の悪戦苦闘ぶりに、もはや日常を感じてしまう私たち。

 

13時に授業終了。お昼の準備をしながらここ1年ほどの悩みと向き合う。

 

超シンプルなんですけど。ルームメイトと生活スタイルが合わない。

たまには太字も使ってみよう。意味はありません。

ざざっと私のこの1年のしょうもない悩みを聞いてください。

 

そもそも、私がなんで家族住まいのこの家に引っ越してきたのか。

 

理由は2つ。

その1、滞在許可に付随してクリーンな契約書を出せるお家

その2、家ではプライベートを優先したいので、交流が少ない方が楽である

 

そして2つ目の条件が引っ越して3ヶ月で崩れ去ることに。

もともと越してきた当初の話では、パパと高校生の次女が平日のみウィーンに滞在し、金曜日から週末はママと三女の暮らす郊外の家へ。私は週末一人。最初の3ヶ月ほどは、それはもう静かで快適、パパと次女とも仲良くやっていました。

 

3ヶ月後、イタリアに行っていたはずの長女がウィーンに転がり込んで帰省。そのまま居座ることに(言葉が悪いですね、彼女の家ですから)。でも部屋はすでに私に明け渡しているので、リビングでの生活スタート。私はすでに1年の契約書にサインをして、さらに滞在許可の延長申請中ですぐ引っ越すにも…とびっくりしていたら、家族総出で「kikiはここに住んで!出て行かないで!大丈夫だから!」と。

 

落ち着いてご両親と話したら、ふたりとしては長女には自立してもらいたい。つまりはもう家を出たんだから、と言う認識でした。まぁ、家族ごとなので私はノータッチで「引っ越しが必要だったら早めに教えてください」と。

 

そこから半年は、まぁ親子ゲンカと姉妹喧嘩のピークでした。何もしないで家に毎日友達を連れ込んで騒いでいる長女と代わる代わる家族が大げんか。私はほとんどアトリエに居たのですが、夜中に帰宅してもまだ続いている喧嘩。まぁ、19歳。そんなもんですよね。苦笑。

 

ただ、このお友達が毎日やってくるのには私も正直参っていて。夜中も関係なくうるさいし、キッチンはぐちゃぐちゃ。それでもパパが居た頃は、パパが朝掃除してくれて、kikiごめんね〜というフォローがあり、次女が「うるさーーーい!」と夜になると長女のお友達を追い出してくれていた(成功率は低いが)。

 

そんな、自分が親だったら頭の痛い半年を経て、結局長女がウィーンの大学へ進学するということになりました。パパが自分の部屋を明け渡し、授業のある日だけリビングで寝泊まり。可愛い娘には敵いません。結局最後まで「kikiはここにいて」の一点張りでした。二人とも公務員なのでお金に困ってるとは思えませんが…優しさだと素直に受け取っています。

 

さぁ、御察しの通り。ただいまコロナパンデミックで、長女以外は郊外のお家で暮らしています。私と二人きりになった長女はそれはもう、自由気ままに生きておりまして。それでも外出自粛期間中は誰が訪ねてくることもなかったのですが、5月に入り解除されてから毎日また人が出入りするように。最初は手も洗わずに、上着を着たまま家中をウロウロする人が毎日入れ替わりやってくることに、びっくりしました。でもコロナに対する警戒度は、感染者が減ったウィーンでは人によって大きな差があるのも事実。私も今週末からバイトに復帰し、人との接触が増えます。私もリスクを持ち帰るからね…仕方ありませんから…と自分に言い聞かせる。

 

でも、いよいよバスルームに友達とこもって、スモーキングルームにされる。

キッチンを毎朝掃除するルーティーンに友達の残骸が加わる。

夜中(むしろ朝方)3時くらいまで大声で騒がれる。

そして、毎日。ここ重要。毎日。

 

うん…。初心にかえろう。こういう状況を危惧して、慎重にわざわざ家族住まいから部屋を借りたんだったんじゃないのか、自分?どんなに大学の友達からルームシェアを提案されても丁重にお断りしていたのは、できれば家ではポツンとしたいから。いくら彼女がいい子で、19歳だとしても、我慢しきれるか、あと1年?勝手に我慢して爆発するのも、それはそれで、相手からしたら理不尽だぞ?と。

 

2日前に夜中のうるささに、気持ちが爆発して、ヘッドフォンしながらひたすらワンルームの物件を漁る。でも、お金ない。もうこのストレスは全て私に稼ぎがないから起きている気がして情けなくて落ち込む。でもお金があって一人暮らししても、隣の人がパリピであると言う最悪の可能性も捨てきれない。もうネガティブ爆発。寝不足。でも、思い切って引っ越すなら早い方がいい。なぜなら私のウィーン滞在はもう1年程度の可能性あり。WGではなく一人暮らしだと2年契約が主流。いやぁ、でも…生活のために家具や電化製品を揃えて、その後の引っ越し先が国境をまた超える可能性も高い。自分の遊牧民っぷりが原因でもある。定住したい…でも…。

 

そんな走馬灯のような悩みを回想しながら、キッチンでタコライスを作る。

あっ話は今日に戻りました。

そこへ長女が起床。なんかもう、意を決して話してみようという気に突然なり、起き抜けに申し訳ないが相談を持ちかけてみた。

 

どうして1年も我慢したのかと聞かれると、別に自分の希望する生活スタイルが正しいわけじゃないからです。キッチンが常に綺麗であって欲しいのも、タバコは外で吸って欲しいのも、夜は静かに眠りたいのも、究極(コロナ中は)家で作業したいのも、私の個人的な希望です。そして19歳。彼女が友達とワイワイと騒がしいのは、ある意味健康であり、そういう時期を満喫すべきとも思う。私にもあった。まぁ単純に、自分が細かい性格だという自虐的自覚もあるので、うるさいだろうなぁ〜って。

 

ただ、もしお互いの生活スタイルが合わないのであれば無理して一緒に暮らす必要はないとふと思ったのです。タコライスを作りながら。私に希望の生活スタイルがあるように、彼女にもあるはずです。それは同じように毎日ワイワイとやってくれる同年代と暮らすことかもしれない。彼女にも当然ながら誰と暮らすのか選ぶ権利があります。

 

というわけで、そう正直に打ち明けてみました。私と暮らすの窮屈じゃない?と。

彼女は、私が掃除をしても、何をしても文句も八つ当たりもしてこないのに不満なんかない!静かだなとは思うけど、パーフェクトだ!と。引っ越さないで〜と。

 

というわけで、では!と妥協案を作成。私の部屋に近いバスルームに友達とこもりスモーキングルームにしないこと。そして友達が頻繁に訪ねてくるのはいいから、夜は自分の部屋で友達と過ごし共有スペースでは騒がない。

 

今日は訪問者なく、妙に静かです。むしろちょっと心配ですが、これでレポートのための読書などなど捗りそうです。彼女にも、コロナが落ち着いて、アトリエやカフェで作業できるようになったら、私も極力外に出るから、今だけごめんよとお願いしました。ちなみにバイトに復帰するので、そういう日は気にせずにどうぞ、というのも付け加えました。別に彼女の生活スタイルに物申したいわけじゃないので。

 

と、ここまで書いていたら訪問者。ただいま22時。笑

心配しなくても、19歳のパワーで人生楽しくやるのかな。私も私で、卒業後に備える意味でも自分の経済状況とも向き合わなければ。まずは一人暮らしを長く継続できる経済力、ですね。卒業して、働ける条件を整えて、まずは学生ビザ週20時間しか働けない問題から脱出したい!ということで、コロナクライシスに逆らうように継続されているオンライン授業に参加し、単位をもらい、ドイツ語を頑張り、夏には英語力も伸ばして…ルームメイトにはこれ以上何も言うまい。自分のできることを。

 

でも話したら随分とすっきりとしました。たとえ3日後に元に戻ろうであろうと今から覚悟していようとも。眠れない夜は、将来暮らしたい理想の間取りでも妄想しようと思います。笑。