ワクチン2回目に行ってきました。

1回目から4週間ほどあきまして、2回目のワクチン接種に行ってきました。

今回も前回同様にBioNTech/ファイザーです。

 

さんざん周りに脅されまして、接種後はお仕事は休みの予定にして、いざ。

今回は10代の子も沢山いました。お友達同士で一緒に受けに来ていて、きゃっきゃとしていて可愛かった。8月15日からレストランなどで提示義務がある3Gからワクチン接種1回目が除外になるので、若者の接種も進みそうです。9月から学校始まるしね。

 

おじいちゃん先生から、1回目はどうだったか、家に鎮静剤はあるかと聞かれ、鎮静剤…はて…とバファリンも鎮静剤…となっていたら、帰りに薬局でこれを買うんだ!一日最大4回、間隔は6時間!2回目はまぁまぁしんどい!というアドバイスが。チクッと一発いった後に、ハリボーみたいなグミの袋を鷲掴みにしてくれました。15分ほど待合室みたいなところで水を貰って待機。

 

仰せの通り、帰りしなに薬をゲットし、スーパーで食材を買い込み、帰宅するころには首から背中が痛くなり、頭痛と発熱。反応早くないか!と思いつつも、サラダを食べて薬を飲んでベッドへ。そこからかれこれ20時間ぐらい寝ていました。寝疲れました。

 

ちょうど接種してから24時間が過ぎたくらいですが、お腹を壊しているのと、腕が痛い、少々の微熱くらいです。周りの友人も3日もすればけろっとすると言っていたので、今日は薬を飲まずに様子見です。

 

秋から近隣諸国ではPCR検査が有料に切り替わるようですが、ウィーンはどうなんでしょうか。2回目までの接種率が55%くらいなので、段階的に…冬ごろでしょうか。

 

とても正直なことを言うと、ワクチンを接種して少し日常生活の緊張感から解放されそうです。もちろん感染症対策というものは、それなりに続けていくのですが、今まで週に多い時で4回PCR検査を受ける生活をかれこれ半年ほど送っていて、一回一回、陽性だったらどうしようという不安がありました。どんなに個人で気を付けていても、家に引きこもっているわけではないので、無症状なだけでどこかで感染している可能性があって、陽性が出たら、私がここ3日会った人たちも濃厚接触で隔離かもしれないと思うと変なプレッシャーを感じていました。でも陰性証明が無いと大学の授業も受けられない、インターンにも行けない。避けては通れない。

 

どこか、社会規範の中で選択を迫られた感があるワクチン接種なので、受けたくないという人の気持ちも分かります。ただ、私の個人的な判断としても、そういう理論的なことよりも現実的に医療機関で1年半このパンデミックの圧の中で働いている人の負担が減るのなら受けよう、コロナの後遺症もも怖いしなというところでした。

 

そんな話で言えば、うちの叔父は当初(もしかしたら今も)「このワクチンを受けると5年後に死ぬ」説を本気で信じていて、母にも打たないようにと連絡してきました。私も母も、何を信じるかは個人の自由なので、それについては否定も肯定もせずに、なるほど…と聞いていたのですが、母の「でもうちの子供二人はもう打ってるし、自分の大事な人がいない5年後に一人生き残るほうが辛いわ。そんなら私も打つわ。あと5年だとしても子供に会いに海外行きたいしな」の一言で叔父も接種することに。

 

難しいところではありますが、個人の自由とのバランスが傾きすぎないといいなぁと昨今のヨーロッパでのデモのニュースを見ていて考えてしまいます。

 

とはいえ皆の最終的な共通の願いは一緒でしょう。

何より、一日も早く収束してほしい。

それだけですね、ほんとうに。

おじさんと下ネタは許せない。勇気を振り絞るために、海外かぶれを武器にする。

色々とありまして、朝からワインゲシュプリッツゥアーを飲んで、頭痛をコーヒーで撃退しようとしている夜のウィーンからこんばんは、kikiです。

 

色々テレコです。明後日にはワクチン2回目でちょっと緊張気味です。

薬局でワクチン副反応に効くという薬を横目に、とりあえず手持ちのパブロンで太刀打ちできるかしら…と遠い目です。

 

さて、卒業してから定住先を決めようという不確定未来を受け入れてはいるものの、

それについて考えたときに一つ、いや二つ。私の前に立ちはだかる大きな壁があります。正確には、日本へ帰国の壁です。これはもう歴史的な壁でして、ベルリンの壁かの如く私の世界を分断しています。

 

えぇ、タイトルを「おじさんの下ネタ」と最初命名したものの、「おじさんも」、「下ネタも」許せないと思い直し、書き直しました。耳が痛い方の耳に突き刺され!

 

海外生活で一番のストレスフリーと言っても過言ではないこと。

職場や公共圏において、そうそう出会わないもの、そう、おじさんと下ネタ。

私はこの二つが昔から、ぜんっぜん好きじゃないです。社会人になった時の一番の疑問が、職場や仕事関係の飲み会に半強制的に参加させられては、強制的にこのくだらない話題で時間をつぶす習慣。

 

おい、おっさんよ。おじさんは正義じゃないし、下ネタはセクハラだし、下品でしかないぞ。お前は松本人志じゃないし、松本人志だとしたところで、だぞ。

 

*ちなみに今更だが「おじさん」という名詞には全ジェンダーを含んでいる。女性の振りをした、もしくは性別を限定せずこういう行為をする人を私はおじさん族と認識している。実は昨日もウィーンでビックリするような下ネタを浴びせてくる日本人女性に出会って腰を抜かしそうになった。やべぇおっさんだった。タイムリーなのでここに記している。

 

 

でも、日本社会しか知らなかった当時は、世界の誰もがこのくだらない時間をなんとかやり過ごして生きてきたのだと信じて疑いませんでした。

 

いやいや、その世界、おかしいで!

 

久しぶりに太文字になっちゃった。

デンマークの学生生活においても、カナダの職場においても、そんな摩訶不思議な下ネタタイムは存在しません。ドイツもウィーンも言わずもがなです。どこの誰がそんなくだらないことに時間を費やすのか。最初は私の海外経験がラッキーなだけかなと思っていたのですが、えぇ、普通、存在しないんです。だから我慢しなくていいのです。

 

普通と枕詞を挟んだのは、もちろん、世界中、頭のイタイ人というのは存在します。最近だとベルリンのフォルクスビューネのスキャンダル。セクシャルハラスメントでキックアウトされています。

続きを読む

とりあえず夏休み。ウィーンからドイツへ小旅行。

まったく何もしないまま7月が終わりました。只今、おそらく人生最後の3か月という長期夏休みを怠惰に満喫中のKiki です。

 

夏休みの最初には、時間が無くて手を付けられなかった、読みたい本を山積みにして意気揚々としていたのですが、気が付けば本を横目に毎日だらだらしています。

 

もともと読書は趣味以上半ば仕事みたいなところがあり、一般比でよく読むほうなのですが…なんだか集中力をどこかに落としてきたようです。8月こそは!と息巻いているかというと、あ--------ちょっと--------読もうかな---------みたいな感じです。どんな?

そんなだらだらついでに、ドイツの友達に会いに行ってきました。

7月の頭に1回目のワクチンを接種して、本当は2回目が終わってグリーンパスとワクチンの効力が出る8月下旬ごろに旅行に行こうと思っていたのですが、彼の夏休みが8月頭までというわけで、やむを得ず。

 

本当は一緒にポルトガルかオランダ、ベルギーあたりに旅行に行こうと思っていたのですが、感染者の増加でルールがコロコロ変わるし、2回目もお互い8月ということで大人しくドイツの彼の自宅へ遊びに行きました。

 

ウィーンから電車だと10時間越えで、先月仕事でザルツブルクまで電車を使った彼からの「まじできついからおススメしない」という助言を胸に、しぶしぶ航空券を購入。移動3日前になって、なんと大雨の自然災害が発生し、空港からの鉄道が間引き運転で麻痺。ニュースでその光景を見て「なんてこった、旅行どころじゃないよ」ともはや諦めていたのですが、誰かに車出してもらうから、とりあえず飛んで!との連絡で、まぁ最悪一本ぐらいは電車も走ってるでしょうと向かうことに。

 

空港で彼と無事再会。車で迎えに来たからさぁ、と二人で空港の外へ。

「ただ、ちょっと問題があってさ。事故ったんだ」

「えっ!!!」

 

というビックリニュースからドイツ旅行はスタート。誰か怪我でもしたのかと一瞬背筋が凍りましたが、追突しただけで、大したことないと。事故現場は空港の目の前、もうあと10秒で空港のロータリーというところでした。惜しい!苦笑。

 

迎えに来てくれたのは彼の親友のお母さん。縁もゆかりもない私を迎えに来たばかりにこんな事故、申し訳ねぇと委縮していたら。

「あらぁ、かわいらしい。いらっしゃい!」と明るいママ。そして事故相手の家族も「見てよこれー。当たったところがちょうどハマっちゃって抜けないのよ。結婚みたいよ、はっはっは!」と明るい。

結局彼の親友である息子も仕事を抜けて現場に駆け付け、保険会社が手配したレッカーを待つことに。息子も落ち着いたもんで、一年にいっかいくらいやるんだよなぁ。いい保険に入っているから大丈夫だよ、と。

 

幸いレッカーもすぐに到着して、「こりゃ後続車のバンパー取れちゃうだろうけど、しょうがねぇな」とぶんっと引きはがして帰っていきました。パンバーは取れましたが、後続車のファミリーはとても親切で「ちょうど売りに出すつもりの車だったから新しくなるのはありがたいわ」とのことで、そのまま壊れたバンパーで帰っていきました。ぶつけちゃったのは親友のママで、ちょっと落ち込んでましたが、とりあえずお腹空かない?私の店に行きましょう!とご自身が経営されているアメリカンハンバーガー屋へ行くことに。

すごいボリュームのハンバーガが登場。

f:id:kiikiii:20210805232829j:plain

 

あれも、これもとご馳走してくれるわ、友達はレストランの手伝い始めるわで、拍子抜けしているうちに一日が終わりました。そのまま滞在していた1週間、彼の親友くんと三人でドライブしたり、美術館へ行ったり、散歩したり、散歩したり、散歩したり。

 

彼の親友君はアート系じゃないので、おススメ観光スポットが私の友達とは角度が違って、二人であっちのほうが面白い、Kikiはそれよりこっちのほうが興味あるはずだ、とすぐ痴話げんか。結局私がいつも間に入って、ぶっちゃけどっちでもいいという本音は置いておいて、交互に提案を受け入れたので、友達と二人だったらいかない場所にも連れて行ってもらい、結果とても楽しかったです。

 

廃墟マニアが大好きそうなところにも行きました。

f:id:kiikiii:20210805234140j:plain

 

 

 

あとは毎日一緒にご飯を作っておしゃべりするだけ。1年半コロナ禍で会えなかったので、積もる話は尽きずにだらだら、わいわいして帰ってきました。

 

 

帰りはもう列車も通常運転だったので、友達と「電車で空港まで行けるねぇ。楽勝や。」と公園で寝っ転がりながら話していたら、ママから電話が。「Kiki帰るんでしょ?送っていくわよ!事故はもうないから安心して!」というオファーが。友達と一度は丁重にお断りするも、世界共通、ママは一度言ったら聞く耳を持たない。どこにいるの?公園?じゃあうちまでいらっしゃい!とあれよあれよとおうちにお邪魔して、コーヒーをごちそうになり、また空港まで送ってくれました。次はクリスマスに来たらいいじゃない!二人ともうちへ招待するわ!と最後まで明るいママなのでした。もう一度おさらいしておきますと、彼の親友のママです。私はどちらのガールフレンドでもありません。彼らだってカップルじゃない。笑。

にぎやかな1週間だったので、静かなウィーンに帰ってきてちょっと寂しくなるくらい、楽しい時間でした。

 

ウィーンでは相変わらずだらだらしているのですが、あとまる2か月、少しは有意義に過ごしたいものです。こういう時こそドイツ語…と重い腰を上げ…られるように頑張ります。

あぁ、一時帰国したい。

ワクチン接種一回目に行ってきました。

ウィーンの最初のロックダウンから早1年と3か月少々。ある意味予定通り、ワクチン接種に行ってきました。

 

年始の時点で、私のような基礎疾患がなく、割と若い分類の人は6月ぐらいから開始とアナウンスされていました。ので、予定通り。周りの友人知人も1回目が遅くとも今月中に受けられる感じです。もちろん受けたくないという人もいますが、私の周りでは少数。単純にもうパンデミックを終わらせたい、近々グリーンパスが旅行に必須になるかもしれない、そうなると私たちの分野は結構致命的です。とにかく移動が多いので。

 

受けるか否かは、個人の自由だと思います。

集団免疫が~という議論も目にしますが、公衆衛生とともに医療を選ぶ自由もあると思います。西洋医療が信用できないという人もいますしね。ワクチンも新しい技術のもので、不安になる気持ちもわかります。実際、100%の安全は人が作り人が運用するものなので、なかろうというのが私の持論です。どちらにせよ、重症化リスクがあって不安でかつ受けたいという希望者にきちんと行き届いているので、オーストリアのコロナ対策に私は不満などございません。毎日、何度も同じ注意事項を繰り返して接種会場を運営してくれている人々に感謝です。

 

2回目のほうが副反応が強いと友人知人の体験談で聞いていたものの、ちょっと緊張。

でも丁寧に説明もしてくれて、ちゃちゃっと完了しました。ちなみに私はファイザー。

 

筋肉注射なので、利き手で無いほうにしてもらいました。

献血みたいに、お菓子とお水をくれて、のんびりした雰囲気。待ち時間もなく、接種後15分とどまっただけで、帰宅。もう7時間ぐらい経過していますが、打たれた腕が少々重たいくらいです。食欲もあるし、特にめちゃくちゃダルイみたいなこともありません。ただ日光浴も避けるようにと言われたので、2,3日は家でのんびりしようと思います。

 

2回目は8月。こちらは発熱したという話ばっかり聞くので、念のため解熱剤を用意しようと思います。

 

皆さんも、Mach’s gut !

ただの日常と別れ。

前回の投稿が5月、気が付けば7月。6月は一瞬で過ぎ去りました、おはようございます、kikiです。

 

今週ワクチン接種の予定が入っていて少しドキドキしています。

自分なりに色々と情報を読んで、コロナ感染とワクチン接種のリスクを天秤にかけて受けることにしました。日本に住む家族も先週一回目を受けています。

 

2回目が8月なので、9月には去年果たせなかった、「安いチケットと宿を見つけてふらりと旅行」が出来るでしょうか。どうでしょうか。母には9月の一時帰国はオリンピックがあるし、難しいのではとの見解を頂戴しました。悲しい。えっもう5年帰れず、卒業しちゃうんですけどっていう年末を迎えそうです。年末は帰れるかな…卒業制作と論文でそれどころじゃなさそうでもありますが…。うん。

 

6月は作品のプレゼンに展覧会、そしてわが主任教授の退任に伴いメモリアルブック的なものを制作することをこっそりうけおい、友達と二人でコソコソ制作と並行して準備していました。両手に見せられない荷物を抱え、展覧会のミーティングにもほとんど出席しない私たちのコソコソ具合に不信感を抱いた教授に、ある日抱えている本のプロットを指さして「それあたらしい作品かしら?見せてくれる?」と聞かれたときは自分の嘘の下手さ具合に天を仰ぎました。ウィーンに居るときは、よくスタジオで私の課題以外の作品を眺めていたので、断るのに適当な言葉が浮かばす「これは別のものです」という謎の返答と泳いだ目を見た教授が珍しくさらっと引き下がり、誰だ私にこのシークレットミッションを託したのは、とみんなが苦笑いでした。

 

でも、とっても喜んでもらい、涙が出そうでした。

引っ越しのお手伝いをしては、素敵なグラスをいただいたり、ご飯をごちそうになり、最後までかわいがってくれ、温かい気持ちでいっぱいです。明日とうとうお見送りかと思うと、寂しいですが、また夏休みの間にドイツのご自宅に遊びに行ったり、秋からは卒業制作の作品の面倒を見てもらうわけなので、まだまだ泣かないと決めています。

 

人としてとてもチャーミングで温かい彼女から芸術だけではなく、たくさんのものを教わったと思います。御年70歳、最近は一緒に歩いてても躓いて少しハラハラする場面を目にするようになって、寂しいけれどちょうどいいタイミングなんだろうなという気もしています。

 

誠実に芸術と向き合っている、だからあなたは大丈夫よ。全部そのうちやってくる。

その言葉にどれだけ救われたか。

 

どうかいつまでも健康でいてほしい。

f:id:kiikiii:20210707065833j:plain

 

 

 

 

久しぶりの文化考察。

もうすぐ5年目が目の前のウィーン、もはやドイツ語圏生活。

私は割と大人になってから海外を経験しているので、自分でも日本人社会のしがらみ、みたなものを、良くも悪くも受け入れようとする気負いがあるなぁと思う。

日本で働いていたころの自分は、文句ばっかり言ってもしょうがないからなぁと思っていた。でも、文句は心の底で溜まりにたまって、限界が来た時の逃げ道というのも必要なのではと、次なる選択肢を視野に入れ始めた。

 

結果、今度は選択肢が増えたゆえの悩みを抱えている。

人生が自分の努力によって複雑になっていくなんて、皮肉なもんである。笑。

 

望めばドイツでもウィーンでも、ヨーロッパのどこかで収入を得て、生活できそうである。まったく知らなかったがヨーロッパの大学を卒業すると現地に留まる道があるようだ。かといって、いつまで留まるのか問題である。

でも、日本に完全帰国した場合にも、仕事の場を欧州に持っていたいと思う。つまりはそのブリッジ期間として、卒業後しばらくは、このガイジン生活を続けることになりそうでもある。まぁ、最近は考えることを放棄して、とりあえず卒業したら考えようモードである。インターンの終わりに際して、教授からも次はインターンではなくアシスタントとしての職を提案されたが、それはやんわり断った。とりあえず卒業したいので、卒業したら考えますって。何様な回答だが、私の36年の経験が警報を鳴らしていた。長いものに巻かれても、最後は自分で生きないといけないんだから、もう自分の足で歩いたほうがいいと。彼女は有名すぎるのだ。

 

現実的なことを考えると、メイン住所を日本に戻したほうが、ビザの問題でプロジェクトに制限がかからない。でも、卒業後は新しいことをたくさん試したい。そういう意味では欧州に留まったほうが気が楽そうでもある。

 

私の少ない経験から思うに、欧米圏での仕事環境は非効率的である。責任の所在にこだわりがないので、やりたくないことをたらい回しにする人がめちゃくちゃ多い。信頼できる責任感のある人を見つけるのが最初の仕事ともいえる。日本人からしたらけっこうストレスだと思う。でもどんな物事にも凹凸がある。その代わり、だれが間違えたんだ!というように詰問されることもほとんどない。

 

ドイツの劇場の技術部のシェフが、東京での客演の時に「だれがミスしたか」が明らかにならないと次に進まないという場面をよく目にしたと言っていた。それゆえに、意味のないルールも、厳密に守っていて窮屈そうであったと。ただ意味のないルールを守るがゆえに、全部のルールが支配力を発揮するのでミスが起きずらいと。

ドイツで彼が率いるチームは、建て込みのたびに同じところをミスする。だが、だれがとか、どうして、を追求せずに、またばらして建て込むだけである。ゆえに繰り返すが、職場の雰囲気はいつものんびりしている。

 

こののんびりした、優柔不断な空気は新しいことを試しやすい。日常的な失敗を細かく指摘されないので、チャレンジしてみようという気持ちになる。やり直せばいいかという気持ちのもと、計画できる。

 

日本語で見る有名なキュレーターが「やったこともない、意義もわかっていないのに面白そうだからって簡単に組み込むな」みたいなことを物申していて、あぁ日本だなぁと思った。やったことがなければ、おっしゃる通り意義などわかりっこないし、簡単に計画だって口にしちゃうよ、そりゃ。でもそうやって確率論や正答率みたなものに縛られずに新しい経験をしてみたいと思うことや、それを支援することのほうがよっぽど意味があるように思う。とくに自分が経験者なら。

 

そんなわけで、経験至上主義にちょっとビビっている。

大人相手ならまだしも、子供や若者には、どうか「たいへんだ」の前に「やってみよう」と言える社会であってほしい。命に係らないなら、失敗に終わっても、そのほうが健康的であるように思う。

 

そんなわけで、仕事をしていて久しぶりに文化考察。

まぁ一番は国や国籍に関係なく、気の合う人と仕事の苦楽を共にできることである。

【ドイツでインターン】季節の変わり目。

インターンも気が付けば折り返し地点、来た頃は雪が舞っていましたが、今日は28°と夏日和です。こんにちは、kiki です。

 

一か月前は無観客の配信を予定して始まったリハーサルですが、なんとここにきて、お客さんを入れられそうだと!劇場はプラン変更へ右往左往、慌ただしくなってきました。

 

去年の12月に無観客配信の初演を経験して、それはもう、空しかった。

 

劇場芸術やパフォーマンスアートを勉強するうえで観客との関係性というのは、ある種パフォーマンスであることの定義でもあります。劇場はその地域の、その場の社会や世論を映し出し、批判し、提案する場を担っています。だから今でも国や市が財政から予算を出しているわけで、それが配信になってしまうと、簡単にその意味を見失うのは目に見えています。だれもが楽しめるものを作るというのは素晴らしいことかもしれませんが、同時にエンタメではないものも、社会には必要なわけで。劇場文化がNetflix化しそうな配信は、やっぱり私は違うと思う。誰でもどこでも見れるかもしれないが、そういった利便性が常に正義な世界は空しい。地産地消する大切さもある。

 

今回の演出、そりゃ、世界のトップ10の演出家ですから、でもそんなもの抜きにとても詩的でユーモアがあり、そしてちょっと軽くて面白いです。最初はこのオペラなんで受けたんだと首をかしげていた私のボスですが、まぁ音楽が、そのなんていうか現代オペラなので、うんと…とてもheftig。今日から始まるオーケストラリハは中々カロリーがありそうです。笑。ちなみに今日はボス二人がベルリンへ来年の新作の準備に行っているので、私ひとりです。不安。

 

でも、最初はあぁ…私のドイツ語能力では、というかもうネイティブくらいぺらぺらじゃないとこのアシスタント業は無理だなと、現実を見て落ち込みました。今はただのインターン兼アシスタントで、ボスがこんな私にも優しいので、周りも優しいです(それはそれで闇ではある。苦笑。)が、お金を貰うなら、このままでは駄目です。

 

自分の作品、自分のしたいことはドイツ語だろうが英語だろうが、自分から出すものなので出来るけれど、誰かと誰かの間をつなぐ翻訳伝言できる能力は、ネイティブにしたって得意不得意があるわけで、私にはまだ無理そうです。さらには抽象的な変更点を的確に各部署にメールでお願いする、もし間違えたら大問題です。プロダクションには予算というものがあり、だれもタダで働いてるわけじゃないですから。ただ、卒業前に現実を知るいい機会ではあります。出来ないことを知って、克服するか道を変えるか。

 

土曜日は他のアシスタントの子に誘われて、ビール片手に河原で日光浴をしました。

年も同じくらいで、同じくイタリアから来てドイツで活動しているので、職場やドイツ人とは出来ない話も出来てとても楽しかった。

 

ここにきて、わたしの問題はすべてに共通している。

全部が曖昧で中途半端なのだ。

ドイツ語も、将来やりたいことも、今やっていることも。

曖昧を卒業しなければならない。

 

考え事ばかりしていても、今はしかたない。

あと残りの半分、怪我無く病気なく走り切れますように。